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書評: 『派遣法改正で雇用を守る』

kage

2009/09/07 (Mon)

――西谷敏・中野麻美 共著――

ユニオンみえ
派遣問題に関わっての争議や裁判闘争を
全国でも最も多く、かつ多様な問題に
取り組んでいる労働組合ではなかろうか。
その典型が光精工の闘いであり、
昨年末の派遣切りを契機に始まった光洋熱処理との闘い、
悪徳派遣会社ナガハとの闘いなど、
枚挙にいとまはない。
組合員の皆さんには是非とも派遣労働についての理解を
深めてもらいたいと常々思っているところだが、
このたび、
派遣法の本質が明快に理解できる本が
出版されたので紹介したい。

労働法の大家・西谷敏先生と
ユニオン・サポートみえの初代代表世話人・
中野麻美弁護士との共著による
『派遣法改正で雇用を守る』(旬報社)だ。

西谷先生は労働法学者の第一人者だ。
西谷先生は派遣法を
「やっかいな形態の法律」だという。
重要なことがらは施行令・施行規則などで定められていて、
非常にわかりにくくなっていることもさることながら、
企業の利潤追求の衝動から、
蔓延していた労働者派遣が
あまりにも安易に法認されたことにあるという。
日本国憲法に基づき、定められた大事な原則の一つが
直接雇用の原則である。
労働者と使用者の間に
営利を目的とする第三者が介在することは
認めないということだ。
これを具体化した法律が
労働基準法6条および職業安定法44条だ。
労働基準法第6条では
「何人も法律に基づいて許される場合の外、
 業として他人の就業に介入して
 利益を得てはならない。」として
中間搾取を禁止し、
さらに職業安定法44条において
労働者供給事業を行うことと、
労働者供給事業を行う者から供給される労働者を
自らの指揮命令の下に労働させることの双方を
禁止している。
この原則を特別の法律を作り、
例外的にその許す限りの条件で認めるとしたのが
派遣法だ。
その条件の一つが
企業運営上他の方法に変えることができないものに
限るということと、
派遣労働者の権利と雇用を守り
直接雇用の正社員と入れ替わることがないように
するということだった。
ところが、
この原則は法律の制定時から
歯止めがきくものではなかった。
上記のように、
企業の利潤追求の衝動から違法な状態を追認し、
あまりにも安易に法認されたためだ。
今日の事態は法律ができたときから仕組まれていたものだ。

派遣法制定時、
違法派遣状態が蔓延していたことに対して推進派は、
規制緩和をおこない一定範囲の業務につき
一定の要件を課したうえでの派遣は認めるが、
それ以上は認めずに規制する、
違法派遣に歯止めをかけて
労働者を保護するために作るのだ、
という主張をした。
その後、どうなったか。
結果は歯止めは効かずに違法状態が拡大し、
さらにその違法状態をさらに追認する形で
「改正」されていった。
この論理に従うと、
違法派遣が拡大すればする程
その既成事実を認める以外に
労働者を保護できないことになってしまう。
労働者を保護しようとすれば
規制緩和する以外にないことになり、
ついには完全自由化に突き進む。

この論理を中野麻美弁護士は
「悪魔のスパイラル」と名付けた。
悪魔のスパイラルは今だに破られてはいないという。
悪魔のスパイラルを打ち破らない限り、
最長3年の制限は無制限へ。
ネガティブリストから製造業がはずされたのに続き、
建設・警備・医療・港湾運送が外されていく。
私たちはこの運命のまっただ中にいることを
認識すべきだという。
まさに派遣法をどうするかは
鈴鹿さくら病院の仲間にとっても他人事ではない。
自分たちに直結する問題なのだ。

ではどうすればいいのか。
いくつかの提言を紹介したい。
詳しくは本書を熟読されたい。

職安法44条に反する行為をした供給元も供給先も
両方共が刑事罰を受けることになっているが、
違反した供給元、供給先が
どの様に労働者の雇用について
責任を果たさなければならないかについては
規定がなかった。
派遣法の範囲を派遣元の常用に限定し、
製造業への派遣等を禁止し、
最低限の業種に限定することと併せ、
「職安法44条に違反する労働関係上の契約は
 違法無効とし、
 無効とされた労働関係は、
 雇用の原則に則って供給先と労働者との
 労働契約関係を認める。」ように
法改正させることを提言している。

まさに光精工において求めている内容を
法制化させることだ。
立法闘争は現実の闘い無しにはあり得ない。
わたしたちはまさにその最先端の闘いをしているのだ。
値段は1000円。
是非とも購読の上、熟読を!

評者 : 広岡法浄


労働組合:ユニオンみえ(三重一般労働組合)
三重県の個人加盟制労働組合。
連合単産全国ユニオン加盟。
コミュニティユニオン東海ネットワーク、
コミュニティユニオン全国ネットワーク加盟。
1958年結成。
住所:〒514-0003
     三重県津市桜橋3丁目444
電話番号:059−225−4088
FAX:059−225−4402
ホームページ:『ユニオン みえ』
http://homepage3.nifty.com/union-mie/
電子メール:QYY02435@nifty.ne.jp
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