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アストロシステムは団交に応じよ!(その1)

kage

2009/04/09 (Thu)

――会社側「ご連絡」へのユニオンの見解――

■これ以上の団交引き延ばしは許されない
先日、労災事故の補償等に関する
労働組合との団体交渉開催をいったんは拒絶した
三重県鈴鹿市に本社を置くアウトソーシング会社・
有限会社アストロシステム(代表取締役:石橋奈穂子)が、
4月1日付で代理人弁護士を通じて
「ご連絡」という文書を、
三重県の個人加盟制労働組合・ユニオンみえに
改めて送ってきた。
ただ、
この「ご連絡」はユニオンにとって、
労働組合として看過できない
重大な問題を含むものとなっている。
ここに当労組の見解を明らかにし、
改めて速やかな団体交渉の開催を求めるものである。

まず、
この「ご連絡」及び
アストロシステムのこの間の一連の対応は
徹頭徹尾、
労働組合というものに対する
根本的な誤解の上に立脚したものであることが
明らかである。
アストロシステムは「ご連絡」の中で、
以下のように、
あろうことか労働組合を
特定個人の「代理人」と見なして
「交渉」を行なってきたと自白しているのである。

私たち(当労組注:=御社代理人)は、
貴組合をM氏の代理人と認め、

貴組合と誠実に交渉しているにもかかわらず、
貴組合は、
正式に委任を受けた弁護士の回答書を
一顧だにせず、
弁護士を無視して直接依頼者であるアストロシステムに、
理由も示さず、
突然団体交渉を申し入れました。


実に当然のことだが、
我がユニオンみえは被災労働者である
Mさんの代理人では断じてない。
Mさんを含む
アストロシステムの労働者たちが加盟し、
よってMさんを含む組合員のために
アストロシステムに対し、
労働協約の締結その他の事項に関して
交渉する権利を有する労働組合である。
ユニオンみえはアストロシステムとの団体交渉の
主体であり、
Mさんはその一員であるにすぎない。
アストロシステムは別に、
本件労災問題についてMさんとは
交渉をしなければならない法的義務などはないが、
ユニオンとは団体交渉を行なう法的義務がある。
アストロシステムは、
ユニオンみえがMさんの代理人であるから
交渉しなければならないのではなく、
ユニオンみえがMさんを組織する労働組合であるゆえに
団体交渉を行なわなければならないのである。

そもそもアストロシステムは
一般的な「交渉」と、
労組が労働組合法に基づいて
使用者に強制する「団体交渉」との区別が
ついていないように思われてならない。
労働組合にとって「交渉」とは、
当然にも同じテーブルに
双方の決裁権を持つ代表者が
出席して行なわれる団体交渉のことである。

ところがアストロシステムは、
「私たち(当労組注:=御社代理人)は
 ……貴組合と誠実に交渉している」というのだ。
書面による折衝では
団交応諾義務を果たしたことにはならないことは
広く知られた事実である。
アストロシステム代理人は
これまで一度たりとも、
本件について団交応諾義務を履行したことはない。

アストロシステムは3月9日付で、
代理人弁護士の手になる
「回答書」をユニオンみえに送付した。
それは確かに、
(アストロシステム側からみた)
「基本的な事実関係を前提に、
 最近の判例の基本的な考え方を踏まえて、
 本件労災事故について損害賠償額を算定し、
 解決金の提案を」したものであるように
思われる。
それは
「合計5頁にもわたる詳細な回答書」であり、
アストロシステム代理人弁護士の労が
うかがえるものである。
我がユニオンみえはこの意味で、
決してアストロシステム代理人弁護士の労を
軽視するものでも否定するものでもない。
(特に、
 損害賠償算定額の計算が
 如何に労を要するものであるかは
 我がユニオンみえもこの間 身にしみて
 痛感しているところである)。

しかしアストロシステムはこの事実に続け、
「しかるに、貴組合は、
 この回答書に対し
 何らの意見や回答を寄せられないまま、
 平成21年3月11日付で、
 会社に対して直接団体交渉を申し入れました。

 正式に委任を受けた
 有限会社アストロシステムの代理人弁護士を
 ことさら無視した、
 極めて失礼なやり方であるといわざるをえません」と、
ユニオンみえを論難し始めたのである。

ユニオンみえは建設的な批判は歓迎する。
しかし、
批判するなら批判するで、
基本的な事実関係は
きちんと押さえておいてほしいものだ。

「ご連絡」に記述された
アストロシステムから見た「事実経過」は、
アストロシステムが3月9日に
「回答書」を発したところからはじまっている。
しかしユニオンみえは
それよりはるか以前、
すでに昨年12月19日に
「M組合員の損害額合計(仮)」と題する
損害賠償額算定を
アストロシステム代理人弁護士に
送っているはずなのだ。
(「(仮)」とあるのは、
 あくまでこれが「たたき台」であり、
 アストロシステムとの団体交渉における
 真摯な交渉の中で柔軟に対処する意志が
 ユニオン側にはあり、
 これが絶対であるとの「最終通牒」的立場に
 固執しない姿勢を表している)。

つまりユニオンみえは、
すでに損害賠償額算定額をアストロシステム側に
明らかにしているのである。
その事実関係の上で、
「M組合員の労災に関わる損害額の提示が、
 双方示されましたので
 当労組と協議し、
 決定していただきますよう
 下記のとおり団交を申し入れますので、
 必ず、応諾されたい」としたのが
3月11日付の
「団体交渉申入書」なのである。
(そもそも、
 本件団体交渉自体は実に2006年8月7日以来
 何度となくアストロシステムに対して
 行なっていることがらである)。

つまり、
ユニオンみえは
「弁護士を無視して」団体交渉を申し入れた
事実はない。
それどころか、
「突然団体交渉を申し入れ」た事実も
ないのである。
アストロシステム側代理人弁護士が
詳細な損害賠償額算定を行なって
ユニオンみえに通知した事実を確認したからこそ、
ユニオンみえはその事実を踏まえ、
「M組合員の労災に関わる損害額の提示が、
 双方示されましたので」と、
これまで何度も申し入れていた
団体交渉申し入れを
改めて行なったというのが
事の真相なのである。
(ちなみに、
 我がユニオンみえも3月19日付
 アストロシステム「抗議文」に
 「合計5頁にもわたる詳細な回答書」でもって
 答えた事実があるのだが、
 4月1日付のアストロシステム「ご連絡」は
 この回答書に対し
 ほとんど「意見や回答を寄せ」たものとは
 なっていないように思われ、
 率直に言って少し残念だ)。

アストロシステムは
「回答書に対し
 何らの意見や回答を寄せられない」と
ユニオンみえを非難する。
しかし、
ユニオンみえがとっくの昔に
見解を明らかにしている問題で、
やっと今ごろ回答したことをもって、
「それに対しても意見や回答を寄せなければ
 団体交渉に応じない」というのは
どう考えても筋が通らない。
そのようなことを延々と続ければ、
交渉は事実上
「書面上」で行なわれることになってしまい、
正式な労使交渉の場である団体交渉が
いつまで経っても開催されず、
仮に開催されても
極めて形式的なものとなってしまう。
(そもそも、アストロシステムは
 前回3月25日のユニオンみえ申し入れの内容に対し、
 きちんと「意見や回答を寄せ」ていないのだ。
 自分たちは相手方の質問に
 まともに答えようとしないくせに、
 ユニオンみえには「意見や回答を寄せ」ないからと
 団体交渉を拒絶するのは卑怯である)。

すでに双方の立場は明らかになっているのであり、
あとは正式な労使交渉の場である団体交渉にて
話し合えばよいまでの話だ。
すでに最初の申し入れである
2006年8月から
一体どれほどの時間が経っているのかを
考えてみてほしい。

次にアストロシステム代理人弁護士は、
ユニオンみえが3月11日、
「依頼者であるアストロシステムに
 直接団体交渉を申し入れ、
 弁護士をないがしろにした対応を取っ」たとして、
「法治国家における基本的なルールを無視した
 貴組合のやり方に
 (労組注:私たちは)異議を唱えている」、
「交渉の基本的なルールを無視した貴組合とは
 信頼関係を築くことが難しい」と
激しくユニオンみえを責め立てている。
率直に言って、
何をそれほどヒステリックに怒っているのか、
私たちには見当がつきかねる。

我がユニオンみえは極めて当たり前のこととして、
アストロシステムに団体交渉の申し入れを
行なった。
これまでユニオンみえは、
代理人がついた場合もそうでない場合も、
団体交渉の申し入れは使用者に対して行なってきた。
そのことにつき、
このように
「法治国家における基本的なルールを無視した……
 やり方」などと
口を極めて批判されたのは初めてである。
ユニオンみえは
団体交渉に代理人が同席することを認めてきた。
これまでそれで混乱が起きたことはない。
(むろん、
 正式な弁護士資格を持たない
 示談屋・事件師のたぐいが
 労使紛争に介入しようとしたり、
 使用者との委任関係がはっきりしない者、
 「弁護士のみ」が団体交渉に出席し
 会社関係者が出席自体を拒否するような
 悪質な事例については
 お引き取り願うことにしているが)。

たとえ使用者側に弁護士がついて
裁判状態となったとしても、
悪質な企業に対しては
職場内外の仲間とともに
抗議宣伝活動や申し入れ行動に取り組み、
悪質企業を社会的に包囲する中で
幾多の勝利をもぎ取ってきましたのが
ユニオンみえである。
職場の理不尽を許さない、
強く優しい地域労組としての
ユニオンみえの評価の高さは、
こうした地道な現場の闘争に
裏打ちされたものであると確信してきた。

もし、
私たちが労働組合の当然の権利と思って
行なってきたこれらの行動が
「弁護士をないがしろにした対応」であり、
「法治国家における
 基本的なルールを無視した……やり方」であり、
「交渉の基本的なルールを無視した」行ないで
あったのなら、
ユニオンみえはこれまで、
本当に大変なことをしてきたことになってしまう。
もしそのような論理がまかり通ってしまうのであれば、
アストロシステムのやり方に抗議する宣伝活動は
アストロシステム社前ではなく
代理人弁護士の法律事務所の前で、
申し入れ行動はアストロシステム取締役に対してではなく
代理人弁護士に対して
行なわなければならないという
実に奇怪な現象が起こってしまう。
もし使用者が弁護士に委任をした場合、
労働組合は使用者に
「直接団体交渉を申し入れ」てはならないという
アストロシステムの主張に法的根拠があるのなら、
ぜひとも教えていただきたいくらいである。
(重ねて言うが、
 これはユニオンみえのみならず
 全国全ての労働組合にとって
 実に切実な問題であるので、
 ユニオンみえとしてもごまかしたくない点である)。

アストロシステムは上記の主張に続けて、
「私たち(労組注:=御社代理人)は、
 貴組合の組合員であるメディナ・マルタ氏と
 直接交渉したり、
 書面を送付したことは一度もありません。
 全て、
 メディナ・マルタ氏の代理人である
 貴組合と、交渉し、
 貴組合に書面を送付してまいりました」と言う。

ここでもアストロシステムは
ユニオンみえを「代理人」扱いしているが、
労働組合は断じて「代理人」ではない。
(ユニオンみえはMさんから
 「加入届」は受け取っていても、
 「委任状」を受け取ったことはない)。
ユニオンみえはアストロシステムとの交渉の
当事者であり、
Mさんはその一構成員にすぎない。
そしてここでいう「交渉」とは、
当事者間の任意によって行なわれる
一般的な「交渉」ではなく、
労働組合が使用者に対してその開催を強制する、
労働組合法上の団体交渉のことなのである。

アストロシステムがユニオンみえに加盟した
Mさんの労災問題について、
当該労働者に個別接触をしてはならないことは
当然のことだ。
なぜならユニオンみえがMさんの加盟を伝え、
本件団体交渉を申し入れた時点で、
この問題の当事者はアストロシステムとユニオンみえに
なっているからだ
(決してアストロシステムとMさんではない)。
この問題がアストロシステムとユニオンみえとの間の
義務的団交事項である以上、
それを労働組合の頭越しに
当該労働者と交渉して解決しようと図るのは、
労使の団体交渉を実質的に意味のないものにし、
ひいては労働組合を軽視して
団結権・団交権を侵害する
不当労働行為なのである。

しかし、
ユニオンみえと
アストロシステム代理人弁護士との関係は
これにはあたらない。
アストロシステムが代理人をつけようがつけるまいが、
それはアストロシステムの勝手であって
労働組合が口出しすべき事項ではない。
しかし、
たとえ代理人を任命しても
代理人は所詮代理人にすぎず、
団体交渉の当事者そのものではないはずだ。

むろん、
一般的な「交渉」
(「団体交渉」ではない世間一般の交渉)の場合、
そもそもそれぞれの当事者には、
相手方との交渉を受ける義務そのものがない。
だから、
一方の側が
「自分は個別接触はしたくない。
 弁護士を通してくれ」と言っているのに
なおも相手方が当事者に個別接触を強いるなら、
一般的には面会強要などの犯罪行為になるだろう。
しかしそれは、
あくまで交渉義務のない一般的な「交渉」でのことに
すぎない。

労働組合の「団体交渉」は
一般的な「交渉」とは別物だ。
労働者の自主性に依拠し、
民主的に運営される労働組合には
使用者と団体交渉を行なう「権利」があり、
使用者には団体交渉を行なう「義務」がある。
ここが、
いわゆる「示談屋」・「事件師」の類と
ユニオンみえとが根本的に区別されるゆえんである。
逆に言えば、
ユニオンみえを「代理人」呼ばわりして
自分たちと同列に並べようとする
アストロシステム代理人弁護士の姿勢は、
私たちが「弁護士法人」ではない以上、
ユニオンみえをまさに「示談屋」・「事件師」等の
非弁活動行為者扱いするものであり、
「極めて失礼なやり方であると
 いわざるをえ」ない。
自分たち弁護士の流儀を、
浅はかな考えで集団的労使関係に
勝手に類推適用しないでほしい。
私たちは働く者の自主的・民主的団結体であり、
断じて「代理人」などではない。

とはいうものの、
ユニオンみえも本問題の早期解決を願っている。
アストロシステム、
あるいは代理人弁護士に
何らかの譲りがたい信念なりプライドなりがあり、
Mさんの労災問題に関しては
何が何でも会社に直接連絡して欲しくないのだと
頑なに希望するのであれば、
ユニオンみえはその流儀を尊重する用意が
ないとは言わない
(極めて異例の対応である、
 とだけは言わせてもらうが)。
そのことでアストロシステムとユニオンみえとの間に
「信頼関係」が回復し、
誠実な団体交渉に応じてもらえると
確約がもらえるのなら、
ユニオンみえとしては本件に限り、
そのようにさせていただくつもりである。
ただし、
団体交渉においては
代理人のみの交渉は容認できない。
アストロシステム代理人が
交渉に出席することにユニオンは意義を差し挟まないが、
アストロシステム取締役も
必ず同席して団体交渉を開催するよう、
強く申し入れるものである。
「その2」に進む→


【参考記事】
アストロシステム、弁護士が団交拒絶を擁護
アストロシステムと団体交渉開催
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