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アストロシステム、弁護士が団交拒絶を擁護

kage

2009/04/01 (Wed)

――アストロシステムの団交拒絶を許さないぞ――

■労災補償の問題は義務的団交事項である
三重県鈴鹿市に本社を置く人材派遣会社である
有限会社アストロシステム(代表取締役社長:石橋奈穂美)が、
従業員であったMさんの
派遣先就業中の労災事故の補償問題に関する
団体交渉を拒絶している問題で、
三重県の個人加盟制労働組合・ユニオンみえは3月25日、
強く抗議して再度団体交渉の申し入れを行なった。
 
アストロシステムは、
代理人弁護士による
3月13日付の「ご連絡」の中で、
労災事故の補償問題に関する
ユニオンみえの団体交渉申し入れに対し、
「そもそも、本件事故は、典型的な労災事故であり、
 労使間の労働紛争ではありません。
 本来は、
 裁判所の司法手続きによって
 客観的かつ公正な損害額が確定されるべき
 趣向のものです。
 組合との団体交渉に
 なじむ性質のものではありません」と述べ、
団体交渉の開催を明確に拒絶してきたのである。
そのことに対し、
ユニオンみえの広岡書記長が3月17日、
代理人弁護士に電話で強く抗議したところ、
代理人弁護士はあろうことか、
これを「強引かつ傍若無人な対応」などと論難し、
「厳重に抗議します」などとする「抗議文」を
ユニオンみえに送り付けてきた。
自らの雇用する労働者を労災にあせておきながら、
対等な話し合いのテーブルに着くこと自体を拒絶、
それに抗議した書記長に
「強引かつ傍若無人」などと逆ギレするとは、
一体どういう了見なのだろうか。
ユニオンみえはアストロシステム代理人弁護士の良識を
疑わざるをえない。

アストロシステム代理人弁護士は、
ユニオンみえの広岡書記長が、
「大声で恫喝し、
 前記書面で貴組合との団体交渉を
 お断りしているにもかかわらず、
 貴組合との団体交渉に応じるように、
 強行に申し入れました」と言っている。
アストロシステム代理人弁護士の不誠実な対応に対し、
広岡書記長のとった対応は実に当然のものである。

大体、言うに事欠いて
さも当然のことでもあるかのように
「前記書面で貴組合との団体交渉を
 お断りしているにもかかわらず」と言うのは
どういうことなのか。
アストロシステム代理人弁護士が
「団体交渉をお断り」するからこそ、
ユニオンみえの広岡書記長は
代理人弁護士に団交の必要性を縷々説明したのであり、
いわれのない言いがかりはやめるべきである。
アストロシステムが自らの責任を自覚し、
真摯に対応するよう求めるものだ。

アストロシステム代理人弁護士も言うとおり、
本件事故そのものは「典型的な労災事故」ではある。
が、
その労災事故に対する使用者側の責任の果たし方
=労災補償及びその後の雇用(雇用形態も問題があった)、
さらには再発防止について、
使用者側と労働者側との意見が一致をみないことが
「労働紛争」なのである。

アストロシステムは
労働組合法で定められた正式の労使協議の場である
団体交渉から逃亡し、
しきりに「裁判所の司法手続き」・「裁判所による法的解決」に
逃げ込もうとしている。
しかし、
裁判所においては
一介の外国人派遣労働者であるMさんが
企業組織であるアストロシステムと同じ土俵に載せられ、
ぶつかり合わなければならない。
労災事故に関する目撃者・生産設備なども
使用者側の手の中にある。
言葉の壁もあり、
個人のままで対等の立場で主張することは
困難を極める。
このような主張をする
アストロシステム代理人弁護士には、
労働者の団結権に関する基本的な理解が
根本的に欠如しているとしか思えない。
(だからこそユニオンみえの広岡書記長は、
 「アストロシステムの代理人弁護士は
 労働事件の知識や経験がないのではないか」と
 電話で発言したのである)。

労災補償の問題は
団体交渉事項になり得ないとする
アストロシステムの見解は間違っている。
2008年7月31日、
奈良県労働委員会は石綿被害の補償をめぐり、
建材メーカーのニチアスが
労働組合との団体交渉を拒否したのは
不当労働行為に当たるとして、
団交に応じるよう求める救済命令を出している。
決定は、
「一般に、義務的団体交渉事項とは、
 労働条件や労使関係のルール等に関する事項であって、
 使用者が処理可能なものである。
 職場環境の保持や生じた災害への補償が
 ここに含まれることはいうまでもない」としている。
ニチアス事件でも会社側は、
アストロシステムと同じく、
「民事訴訟という市民法で解決されるべきであり、
 団体交渉という団体法の領域に
 持ち込まれるべきでない」と主張した。
しかし、
奈良県労働委員会は、
「労働者と使用者の間で生じた紛争を
 損害賠償請求などの民事訴訟手続によって
 解決することが可能である場合にも、
 そのことは、
 団体交渉を拒否する正当な事由になるものではない。
 労働者が退職後長期間経過した後に
 問題解決を求めている場合には、
 別異に考える余地がないとはいえないが、
 民事損害賠償による解決は、
 時効や証明責任の障害のために、
 必ずしも容易であるとはいえない反面、
 団体交渉は、
 民事訴訟手続では不可能な弾力的解決を
 可能にするなどの利点をもっているので、
 本件のような事例においても、
 なお問題をもっぱら民事訴訟手続きによって
 解決すべきであるとはいえない」と一蹴している。

団体交渉においては、
双方が納得して合意できれば、
速やかに問題は解決する。
アストロシステム代理人弁護士はMさんに
「本件労災事故については、
 速やかに訴訟提起等の法的手続をお取り下さい」とのみ
無責任に言うのであるが、
アストロシステムが
Mさんの弁護士費用・裁判費用等を
全て負担してくれるとでも言うのだろうか。
情報へのアクセスも困難で、
法的主張をなすこと自体が困難なMさんに、
裁判にあたって必要となる膨大な打合せなどについては、
アストロシステムの責任で
優秀な通訳を雇ってもらえるのであろうか。
Mさんが法廷で
「本件労災事故との相当因果関係の有意等を
 厳格に立証」するにあたって、
団体交渉におけるように
必要な資料等を提出して
説明義務を尽くしてもらうことができるのか。
民事裁判の制度はカネ・時間・情報において
企業側が圧倒的な優位に立ち、
カネも時間も情報も持たない個別の労働者が
これに対抗しようとすると
大きな負担を強いることになる。

だからこそ、
社会的にも経済的にも圧倒的な劣位にある労働者、
特に弱い立場に立たされがちな
非正規労働者・外国人労働者は
労働組合に結集して闘わなければならない。
使用者側と対等な交渉を行なうためには、
労働者自身が使用者側と対抗できる力量を
職場の内外で確立すること、
すなわち、
団結権・団体交渉権・団体行動権を持つ
労働組合を組織し、
職場内外の仲間とともに使用者側と対峙し、
相手と対等な交渉力を築いた上で
成果を勝ち取る以外にはない。

ユニオンみえ書記長が取った「申し入れ」は全て、
アストロシステムの違法な団交拒否を糺すために
非暴力の手段で行なわれているものであり、
それを理由に
「貴組合と信頼関係を保ちながら交渉することは
 極めて困難と判断」したなどとするアストロシステムの主張には
一片の道理も存在しない。
そのような主張は、
団交拒絶の仕打ちを受けたユニオンみえの側が
アストロシステムに対して主張するということはあっても、
労災事故を引き起こしておきながら
団交拒絶を行なった側であるアストロシステムが
主張することは到底許されるものではない。

そもそも、
アストロシステム代理人弁護士とは違い、
私たちは労働組合であって法律家ではない。
アストロシステム弁護士がしきりに強調する「法的判断」は
ユニオンみえにとって有力な判断材料の一つではあっても、
二義的な問題にすぎない。
労働組合は、
労働者の要求を実現し、経営者の横暴を規制するための
組織である。
弁護士や行政機関などとは違い、
「法律最低限」の履行を求める機関ではない。
自らの組合に加盟する労働者の
筋の通った要求については、
法律上の根拠があろうとなかろうと、
私たちは堂々と、
企業に、社会に要求を突きつけ、
情理を尽くして闘うのである。

仮に、
アストロシステム代理人弁護士の主張するとおり、
Mさんが「永住者」ではなく「定住者」であるが故に
(どちらも手続きさえ踏めば
 ずっと日本で働くことができるのであるが)
労災補償金額が大幅に減殺されるというような理不尽が
「法」であるとするならば、
ユニオンみえはなおのこと、
この問題を「裁判所による司法手続き」などに委ねるわけには
いかないと感じざるをえない。
民族・国籍を超えて手をつなぎ、
団結しあう労働運動の大義にかけて、
集団的労使関係の枠組みの中で解決させなければならないと
改めて確信するものである

ユニオンみえは、
個々人がよければよいという考えの
労働組合ではない。
個々人の問題も全体の問題と捉え、
みんなの力で解決する。
アストロシステム代理人弁護士は
3月19日付「抗議文」の中で、
ユニオンみえ広岡書記長が
「組合と団交をしないのであれば、
 組合が関わっているアストロシステムの
 他の事件にも影響するが、
 それでも構わないのか」と
「大声で恫喝」されたと主張するが、
書記長の発言は当然の道理を述べたまでのものだ。
Mさんの事件は
たまたまMさんの身に降りかかった問題ではあっても、
Mさんだけの問題ではない。
アストロシステムが
この問題にどのような対応をするのかによって、
ユニオンみえのアストロシステムに対する姿勢は
当然変化するだろう。
本件はすでに個別争議ではなく、
ユニオンみえとアストロシステムとの集団的労使関係のうちの
一部なのである。

またアストロシステム代理人弁護士は
3月19日付「抗議文」の中で、
ユニオンみえ広岡書記長に、
「あくまで、組合と団交しないのなら、
 次のステップに進むぞ。/
 アストロシステムの不利益になっても構わないのか」と
「大声で恫喝」されたと主張している。
しかし、
これは「恫喝」ではなく厳然たる事実である。
ユニオンみえは組合員に関する労使間の紛争を、
労使の話し合いによって解決することを本分としている。
それだけに、
団体交渉開催の拒絶に対しては、
不当労働行為の最たるものとして
特に厳しい姿勢で臨んでいるのだ。
アストロシステムがあくまで団交拒否に終始するなら、
ユニオンみえはその争議権を行使して
アストロシステムの業務の正常な運営を阻害し、
あるいは三重県労働委員会への
不当労働行為救済申立をもって、
アストロシステムが団体交渉の席に着くことを
強制せざるを得なくなる。
そうなると当然、
アストロシステムの「不利益にな」ると
覚悟しておいてもらう必要がある。

アストロシステム代理人弁護士は
「広岡書記長のような傍若無人な対応は、
 労働組合に対する市民の信頼を著しく低下させるもの」
という。
しかし事実はどうだろう。
ユニオンみえは現在、
この地域における「派遣切り」・「非正規切り」・
「外国人切り」の嵐の中で、
多くの労働者・市民の「最後の寄る辺」となっている。
それはユニオンみえが、
違法な団体交渉拒絶に対して抗議もせず
労働者の権利を守ることのできない労働組合ではなく、
労働者の生活と権利を防衛しぬく
真の労働組合であると
広く労働者・市民から信頼を勝ち得ているからなのである。
ユニオンみえはこの信頼を裏切るわけにはいかない。

労災事故を引き起こしながら
労働組合との話し合いのテーブルにも着かない
アストロシステムと、
それに声を大にして抗議したユニオンみえと、
どちらに道理があるのかは
一目瞭然というものだ。
アストロシステムが賢明な判断により
速やかにユニオンみえと団体交渉を行ない、
本件早期解決をはかられることを
強く要請するものである。


【参考記事】
アストロシステムは団交に応じよ!


労働組合:ユニオンみえ(三重一般労働組合)
三重県の個人加盟制労働組合。
連合単産全国ユニオン加盟。
コミュニティユニオン東海ネットワーク、
コミュニティユニオン全国ネットワーク加盟。
1958年結成。
住所:〒514-0003
     三重県津市桜橋3丁目444
電話番号:059−225−4088
FAX:059−225−4402
ホームページ:『ユニオン みえ』
http://homepage3.nifty.com/union-mie/
電子メール:QYY02435@nifty.ne.jp
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