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光洋熱処理事件の對馬さん、三労委で証言(酒井徹の日々改善)

kage

2011/06/11 (Sat)

酒井徹の日々改善http://imadegawa.exblog.jp/16114898/より転載。

■ユニオンみえ、団体交渉求める
トヨタ自動車グループ・ジェイテクトの
子会社・光洋熱処理が、
「労働者派遣」を装って労働者の供給を受け入れ、
職業安定法に違反したと三重労働局から認定され、
違法に働かされた労働者らから
直接雇用を求められている事件で、
三重県労働委員会で6月3日に
調査が行なわれた。
労働者らは三重県の個人加盟制労働組合・
ユニオンみえ(「連合」産別・全国ユニオン加盟)に
加入し、
光洋熱処理との団体交渉の開催を求めたが、
光洋熱処理側はこれを拒絶している。

6月3日の調査では、
ユニオンみえ光洋熱処理ユニット代表の對馬純さんと、
光洋熱処理亀山工場の責任者であるS部長に対する
証人尋問が行なわれた。

■会社側証人の「カンニング」、地労委は認めず
裁判や労働委員会などでの証人尋問では通常、
後に証言する証言者が
先に登場する証言者の証言内容を聞いて対策を練り、
有利な立場に立つことを防ぐため、
後発の証言者は先発の証言内容を
傍聴しないようにするのが通常である。
今回は労働者側の對馬さんが先に証言するため、
通常、
会社側の証言者はこれを傍聴することができない。

ところが会社側は、
午後に証言するS部長や
後日証言する井原順一管理部長が
「来ているので(對馬さんの証言を)傍聴したい」
などと主張した。

これに対して先発証言者の對馬さんは、
「こちらが求めた団体交渉は16回も拒否したのに、
 傍聴はしたいというのは厚かましい」などと強く反発。
労働者側の弁護士によると、
労働委員会事務局との折衝の中で会社側は、
「(部長らは)昼休み中(の休憩時間に
 会社側弁護士から對馬さんの証言内容を)聞くのだから
 いいではないか」などと主張したという。
ユニオン側の支援者からは、
「オレはどうせカンニングするんだから
 最初から答えを見せてくれても
 いいじゃないかと言っているのと同じだ」
との声が上がった。

労働者側の加藤寛崇弁護士(三重合同法律事務所)は、
「会社側の主張はあまりにも程度が低い」と述べ、
後発証言者の傍聴の却下を主張。
労働委員会もこれを認め、
S部長や井原順一管理部長は調査会場の外で
待機することになった。

■三重労働局、労働者の雇用安定を指導
ユニオンみえ光洋熱処理ユニット代表の對馬純さんは
現在40歳。
製造業への労働者派遣が禁止されていた
2000年3月から、
「派遣労働者」(実態は偽装請負)として
光洋熱処理の親会社・
光洋精工(現在のジェイテクト)で働いていた。
2004年の3月に
一旦ジェイテクトでの仕事を辞めた後、
2005年4月から、
ジェイテクト亀山工場で再び働き、
2006年3月に退社後、
2008年1月から
ジェイテクト亀山工場の敷地内にある
子会社・光洋熱処理の亀山工場で
再び就労を開始した。

對馬さんはこの際、
光洋熱処理の亀山工場責任者であり、
労働者らから「工場長」と呼ばれていた
S部長の事前面接を受けて働き始めたと証言。
三重労働局も、
光洋熱処理は
派遣会社の三重支店責任者が
個人的な人脈で募集した労働者に
事前面接を行ない、
面接の結果 自ら採用した労働者を
わざわざ「派遣労働者」として
自社に派遣させたと認定している。
この派遣会社の三重支店は当時、
労働者派遣法に基づく許可・届出などを行なっておらず、
労働者の一部については
光洋熱処理と派遣会社との間で
労働者派遣契約さえ締結されていなかったという。

この派遣会社から光洋熱処理へは、
最大14名が「派遣」されていたが、
2009年2月に解雇。
そのうち現在5人がユニオンみえに加盟し、
光洋熱処理への直接雇用を求めている。

三重労働局は光洋熱処理に対し、
直ちに労働者の雇用の安定を図るための措置を
講じたうえで、
労働者供給の受け入れを
即刻中止するよう文書指導した。
だが、
對馬さんらクビを切られた労働者の雇用問題について、
光洋熱処理側は話し合いの開催も拒絶している。

■對馬さん、「契約外の仕事も」
對馬さんは証人尋問の中で、
「派遣」という実態が名ばかりであった様子を
詳細に証言。
光洋熱処理のS部長や課長から直接、
「對馬くん、
 急で申し訳ないけど
 ここの現場 入ってくれ」などと言われては、
何度も契約にない仕事をさせられたと主張した。

光洋熱処理側は、
對馬さんが担当したと主張している
出荷検査の仕事について、
「その仕事は熟練正社員にしかさせていない」と
主張しているというが、
對馬さんは、
「自分の他にも派遣社員のMさんが
 担当していたことがある。
 会社側は別の仕事と混同しているのでは」と指摘した。

また對馬さんは、
改善活動や4S活動を学ぶため、
会社側に命じられて
光洋熱処理の本社に研修に行ったこともあると証言した。
これももちろん、
「派遣社員」としての契約書にない仕事である
(会社側の工場責任者は、
 これが「研修」であったとの認識は否定したが、
 對馬さんを社用車で連れて
 本社工場に「やり方を勉強しに」行ってもらったことは
 認めた)。

■「工場長」、「記憶にありません」連発
続いて登場した
光洋熱処理の亀山工場責任者・S部長はまず、
自分が労働者らから「工場長」と呼ばれていたことを
認めた上で、
正式な役職名は生産部長であると主張した。
事件当時は親会社・ジェイテクトからの
出向社員だったが、
現在はジェイテクトを定年退職し、
光洋熱処理の従業員だという。

S部長は就業前の對馬さんと
工場内の商談室で「会った」ことは認めたが、
事前面接であったことは否定。
その後も労働者側の弁護士の問いかけに
「記憶にない」・「覚えがない」との回答を連発した。

「言うたか言うてないか言うたら……
 記憶がないので……」などと言いながら、
労働局から是正指導があったのでないかとの追及には、
「細かいことは管理部の井原が管轄しているので……」
との証言を繰り返した。

しかし、
労働局の是正指導は
光洋熱処理亀山工場の現場で行なわれていた
違法状態についての指導だったはずである。
「現場第一主義」を掲げるトヨタグループ直系の会社が、
行政機関からの是正指導を受けたというのに、
その内容や対応策について
現場の責任者が十分に把握していないというのが
事実であるなら、
これは逆に大問題ではないのか。
労働者側の弁護士は
様々な形でS部長に問いかけたが、
S部長はやはり、
「把握していない。
 管理部の井原に聞いてみないと……」との回答を
繰り返した。

またS部長は、
会社側の弁護士からの質問に対し、
自分が直接派遣社員を指名解雇したことはないと
証言した。
これに対してユニオンみえ光洋熱処理ユニット代表の
對馬さんが、
かつての直属の上司であったS部長に対して
自ら質問に立つ。
手にしているのはユニオンみえが入手した、
S部長(工場長)からの人員削減指示について書かれた
派遣会社の担当者による報告書である。
そこにはずばり、
「20年12月3日(水)17:00〜17:20 
 S工場長/減産に伴う人員削減2名
 (A氏、B氏、12月末迄)の通告あり」と
明記されている。

對馬さんはこの経過報告書を突きつけて、
これをどう考えるのかとS部長に迫った。
だが、
S部長は「全く違う」と回答し、
これを認めようとしなかった。

証人尋問を終えた對馬さんは、
「2年振りに会ったS部長は、
 僕には目を向けようとしなかった。
 でも、
 経過報告書を手に質問したときパッと目を見ると、
 明らかにびっくりした様子だった。
 この2年間苦労したのだろうか、
 自分が覚えているSさんより、
 年を取ったなという印象を受けた」と
「直接対決」を振り返った。

ユニオンみえの代理人を務めた村田浩治弁護士も、
「光洋精工時代からの職場の実態を
 詳細に証言した對馬さんに対し、
 会社側のS部長は
 全然準備をしてきていないという感じだった。
 肝腎なところで
 『記憶にない』とか『覚えていない』と言っていたが、
 あれでは審査する労働委員会の委員の心にも響かない。
 配置の決定や有給休暇の許可権限なども、
 実質的には光洋熱処理が握っていた実態が
 明らかになった。
 これで労働組合との話し合いに応じないのは
 おかしい」と感想を述べた。

筆者が運営委員を務める愛知県の個人加盟制労働組合・
名古屋ふれあいユニオンは6月8日に、
光洋熱処理に対して
「6月3日三重県労働委員会調査を受けての要請書」を
送り、
6月11日午後6時までに
文書またはFAXで回答するよう求めたが、
光洋熱処理からの回答はなかった。

次回の調査は7月7日(木)13:30から、
S部長から
「細かいことは管理部の井原が管轄している」と
繰り返し引きあいに出された
光洋熱処理の井原順一管理部長と、
派遣会社の社会保険労務士に対する
証人尋問が行なわれる。
對馬さんは、
「次回の井原部長に対する尋問が
 焦点となることは必至だ。
 ぜひ多くの傍聴で支援してほしい」と呼びかけている。


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