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「労災隠し」問題でINAX、労組との話し合いを拒絶

kage

2010/02/06 (Sat)

――中間業者・小端工業も話し合いを拒否――
 
■雇用主・エフケン工業が団交応諾
ユニットバス製造大手のINAX上野緑工場で
2008年9月12日に日系ブラジル人労働者・Mさんが
指2本を切断する大ケガを負ったにもかかわらず
労災の届出がなされていないとして、
Mさんの加盟する三重県の個人加盟制労働組合
ユニオンみえ「連合」構成産別・全国ユニオン加盟)が
INAXに対し話し合いを求めていた問題で、
INAXはユニオンみえに対して1月22日に、
「再発防止の取り組みを強化する
 具体的な仕組みの策定が完了している」などとして
話し合いを拒絶するFAXを送付した。
また、
INAX直接の下請け会社である小端工業も
ユニオンみえとの協議を拒絶。
かわって、
Mさんの直接の雇用主であるINAX孫請け会社であり、
これまでユニオンみえとの団体交渉を拒絶していた
エフケン工業(代表取締役:安田憲功)が
団体交渉に応じるとする「回答書」を
ユニオンみえに送付してきた。
 
これに基づきユニオンみえは1月15日、
初めてエフケン工業と団体交渉を行なった。
 
■「機械はうちでは分からない」
Mさんが労災にあった機械設備について
ユニオンみえが質問するとエフケン工業は、
「機械はうちのものではなく、
 うちでは何もわからない。
 ときどき見に行くくらいで、
 そういう関係はINAXがやってくれている」と回答。
まともな答えができなかったという。
また、
Mさんの労災報告をしなかったことについても、
「INAXが事故報告書を作っていたので、
 労働基準監督署への報告も
 INAXがするものだと思っていた」と、
とんでもない回答をするありさまであったと
ユニオンみえは憤っている。
 
Mさんが従事していた業務についてINAXは、
「当社は、
 小端工業有限会社と請負契約関係にあり、
 エフケン工業は小端工業との契約に基づき、
 再委託先として
 当社の製造業務に関与いただいています」と主張している。
しかし、
労働省(現厚生労働省)の
「労働者派遣事業と請負により行われる事業との
 区分に関する基準」(昭和61年労働省37号告示)によれば、
適正な「請負契約」の要件として、
「請負契約により請け負った業務を
 自己の業務として当該契約の相手方から独立して
 処理するものであること」、
「自己の責任と負担で準備し、
 調達する機械、設備若しくは器材又は材料
 若しくは資材により、
 業務を処理すること」とされており、
これを満たさない場合は
「労働者派遣」に該当するとしているのである。
さらに、
本件は小端工業を通じた二重派遣となるわけであるから、
INAXは職業安定法第44条で受入が禁止されている
「労働者供給」を受けていたことになってしまう
(職業安定法違反第44条違反は
 「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」の
 重罪である)。
 
労働者派遣あるいは労働者供給であるならば、
労災の責任は当然、
派遣先にもあることになる。
エフケン工業の言い分が事実であれば、
エフケン工業の業務は到底
「請負契約により請け負った業務を自己の業務として
 当該契約の相手方から独立して処理するもの」・
「自己の責任と負担で準備し、
 調達する機械、設備若しくは器材又は材料
 若しくは資材により、業務を処理する」ものであると
評価することはできない。
本件労災問題について、
少なくともINAXには、
被災労働者及び労働組合に対し
真摯に事実関係について説明を行なう責務が
あるのではないか。
 
■「INAXが必要でない」と現場検証を拒否
さらにエフケン工業は団体交渉の中で、
ユニオンみえの求めた
労災現場の労使双方立ち会いのもとでの現場検証について、
「INAXと相談しないと答えられない」などと回答。
その後、
INAXのFAX器からのFAXで、
「この件に関しましては、
 弊社の判断では決められないので、
 INAXの方へ打診しました。
 INAXの返答としましては、
 『INAXとしましては、
  INAX自体はそのようなことを必要としていませんので、
  申し訳ございませんが、
  お断りさせていただきます』との返答とし、
 お伝えさせていただきます」と
回答してきたのである(エフケン工業1月22日付FAX)。
 
仮にこれがまっとうな請負関係にあり、
職場の安全衛生については
エフケン工業が全責任を負うのであれば、
職場の安全衛生に必要な
労組立ち会いの下での現場検証の実施について、
「INAXが必要としない」という理由で「お断り」されるのは
おかしな話だ。
エフケン工業における労使関係において必要な現場検証が、
「INAXの必要」によって「お断り」されてしまうのであれば、
労災現場の真の責任者・権限保持者は
INAXであるということになる。
 
INAXがあくまで本件労災問題を
「エフケン工業と当労組との問題」というのであれば、
エフケン工業が打診した
ユニオンみえ立ち会いの下での現場検証を
ただちに許可するべきである。
 
INAXはこれまで、
指2本をほぼ切断するに至った本件労災事故を、
「切り傷」であるとか、
労基署への報告義務がない「不休災害」であるなどと
マスコミに対してコメントするなど、
まるでMさんやユニオンみえを
嘘つき呼ばわりするかのような
実に不誠実な態度を取り続けてきた。
 
また、
MさんとINAXとの間に介在した小端工業は、
2005年8月12日に
今回の事故とほぼ同様の労災事故を引き起こし、
INAX工場課長の指示を受けて
労災隠しを行なっていた会社であったことが
報道関係者の証言で明らかになっている。
今回の労災隠しについても
INAXが本当に無関係であるのか、
ユニオンみえは「大変疑わしい」としている。
 
INAXはユニオンみえに対し1月28日に、
「当社としましては、
 構内請負取引につきまして、
 総合的な安全衛生にかかわる各施策とともに、
 個々の請負取引先との契約について、
 昭和61年労働省告示第37号を遵守し、
 また監督官庁の指導に基づき、
 適切に取引を行っております。
 したがいまして、
 貴組合が指摘するような
 『二重派遣』ひいては労働者供給取引は
 行っている事実はございません」と回答。
エフケン工業も
筆者が運営委員長を務める名古屋ふれあいユニオンの
要請書に対し、
「当社はINAX上野緑工場内において、
 INAXから工場及びINAX所有の機械を使用料を支払って借り受け、
 これを使用して
 小端工業有限会社からの発注を受けて製作し、
 同社へ納品し、
 同社から代金の支払いを受けているものです。
 労災の再発防止は大切な問題であり、
 『現場検証』につきましては意味のあることだと思います。
 工場がINAX所有であり、
 かつINAXも一部同工場で作業等をしておりますので、
 組合の工場内への立ち入りを、
 当社においてお認めするわけには参りませんので、
 INAXと交渉して頂きたく存じます。
 当社としましては上述の通り
 『現場検証』を拒むものではありません」と
2月2日付で回答している。
 

ユニオンみえ・広岡法浄書記長の談話
「Mさんの労災は
 2005年8月に起きた労災事故と うりふたつで、
 INAXが2005年に防止策をきちんととっていれば
 防げたはずだ。
 Mさんの労災事故まで隠していた事は許せない。
 労災防止のためには形式上ではなく、
 実際上の権限のあるところが対応することが不可欠だ。
 さらに内部で処理するのでは不十分で、
 外部の風を入れることが必要だ。
 このことはINAXの持ち株会社である
 住生活グループも承知していると思う。
 外部の風には労働組合も含まれるもので
 排除すべきではない」
(インターネット新聞「JANJAN」
 2月5日より加筆転載)


【参考記事】
INAX上野緑工場で新たな労災隠し発覚
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