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カテゴリ:Don2 読者の声 の記事リスト(エントリー順)

Don2 読者の声 シリーズ ② 弁護士 田巻紘子 (東海労働弁護団幹事)

kage

2017/07/21 (Fri)



ユニオンを拡げ、不条理とたたかえる力を強めたい

弁護士  田巻紘子  (東海労働弁護団幹事)


 久しぶりに「ユニオンみえ」の清水さんから電話をいただく。お元気そうで何より、と思ったのもわずか、「読者の声」の原稿を書けとおっしゃる。「ユニオンみえ」の皆さんにはご無沙汰しており、を一方的に拝読しているだけの者で良いのだろうかと迷いつつ、他ならぬ清水さんのご指示とあって謹んでお受けする。

 自己紹介が遅れましたが、私は名古屋で15年ほどマチベン・労弁(ロウベン。労働弁護士)をしております。弁護士になった直後に、清水さんたちイワタ電工の大量解雇事件の弁護団に入れて頂き、その後も「ユニオンみえ」の皆さんといくつか事件を担当させて頂きました。皆さんに教えて頂いたことはたくさんありますが、特にイワタ電工事件では何があっても諦めることなく明るく運動し続けることが大事と教えて頂きました。勝機が天から降ってくるなんて。得難い経験をさせて頂きました。

 閑話休題。
 マチベンをしていると様々な場面で労働の現場に接することになる。私の場合、一番多いのは離婚の場面。それも女性側である。いろいろな事情でいざ、収入の中心であった夫と別れて生活しようというとき、立ちはだかるのが収入の低さ。結婚、出産を経て離職した女性が好条件(身分が安定、子育てに理解がある、そして一定の収入がある)を得ることはとても難しい。多くは最賃ぎりぎりの時給パート。少しでも時給を高くと物流倉庫へ夜勤パートに出ている方もいるが、子どもと生活しつつの夜勤は大変だ。最低賃金1500円を求める運動が広がっている昨今、最賃1500円が実現したらこのお母さんも夜勤を頑張らずに済むかもしれないと、政策実現に思いをはせる。

 一人親となる女性の境遇につけ込むひどい企業もあった。「正社員で雇ってもらえました」と喜んでいたあるお母さん。実際に働いてみたら、その日のノルマを終えない限り帰らせてもらえない上、仕事が遅いのが悪いと言われて残業代は出ない。仕事に必要なコピーも社長の許可がないと取れず、文具は持参といわれる。あまりにおかしいので、職場の同僚も同じ処遇なのか聞いてごらんというと「先生。みんなシングルマザーでした。酷い会社だってみんな分かってるけど、生活かかっているから簡単には辞めれないって」という返事が返ってきた。使用者は一人親を選んで採用するブラック企業だったのである。彼女は悩んだ末、転職した。転職先の様子を聞いたときの第一声は「先生!ホチキスが(職場に)あります!コピーもできます!」だった。このブラック使用者がもちろん一番悪い。でももし、有期雇用契約が適切に制限され、最賃が生活に足る水準であったなら、そういう労働法制であったなら、彼女達は離婚というしんどい局面で辛い働き方を強いられずに済んだかもしれないのに。無念な気持ちが収まらない。

 一人親世帯の貧困率が50%を超えるといわれる日本。一人親が就労するとなぜか貧困率が上がる、OECD諸国唯一の国でもある。教育・福祉政策や再分配が間違っていることは言うまでもないが、貧弱な労働法制も高い貧困率を生んでいる。そして、とても悔しいことだが彼女達は職場における不条理とたたかえないことがほとんどである。

 〈DonDon〉には、さまざまな困難がありつつも、職場の不条理に対して「ユニオンみえ」という仲間を得て立ち上がり、きっちりたたかう皆さんの姿がたくさんある。立ち上がってたたかうことが容易ではないこの社会で、また、政権も経済界も束になって労働法制を切り崩してくるこの時代に、一人がたたかうことは、その一人の権利を救済するだけでなく、働く者みんなの権利も守ることにもつながっている。

 毎号の記事に胸を熱くし、心からのエールを送り、マチベンも労弁として頑張るぞと決意を新たにさせられる〈DonDon〉なのである。
 



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Don2 読者の声 シリーズ ① ユニオンサポートみえ 代表  宮西いづみ さん

kage

2017/04/24 (Mon)





Donと運動   『社会全体に「労働法」を周知させることを!』
ユニオンサポートみえ 代表  宮西いづみ



 市民運動のニューズレターがたくさん届く中で<DonDon>は面白い。面白い?・・・・娯楽的であるわけでも読者に迎合した記事が載っているわけでもないのになぜだろう? DonDonは事実に満ちている。つまり実話である。しかも、その実話は・・・・底辺労働における、雇用側の信じられないほどの無知、非常識の展示場であり、「ユニオンみえ」のお陰で労働問題を少し学んだ私に些かの優越感を持たせてくれるから面白いのだ。

 もちろん、働く人の側からみれば、「面白い」なんて笑いごとではない。しかし、私程度の労働法知識でも「まさか?!」と思うほどの無知が横行しているのは事実。好意的に解釈すれば無知に由来する違法は、意図的悪意ではないかもしれない。しかし、日本の労働法規を知らない外国人、若者をえじきにしていると言えなくもない事例も少なくない。

 最近『働くときの完全装備――15歳から学ぶ労働者の権利』と言う本を手に入れた。労働法がわかりやすく丁寧に説かれている。義務教育の現場でこういうことが教えられ学ばれているのだろうか。そうではないからこの本が必要とされ出版されたのだと思う。

 十分ではないところもあるだろうが、日本の労働法規は、かなり良くできていると私は思う。しかし、どんなよい法律があってもその法律に関心がもたれず無知の彼方に押しやられ活用されなければ絵に描いた餅でしかない。

 DonDonに登場する雇用者の多くは、いわゆる大企業の、「法」を知り尽くしていながら抜け穴や姑息な運用を探る悪質労務担当者とは違うと思う。彼らにとっては、「ユニオンみえ」の闘いにさらされ、指摘されて、その想定外に、戸惑っているのではないかとさえ思うことがある。彼らの労働に対する認識は、ユニオンみえのそれとはかなりずれがあると感じることも少なくないのだ。

 まず、8時間労働に象徴される「人間的な生活が可能な条件で働くことが何よりも権利であること」、その感覚が定着していない。働くことをこの国ではかつて「ご奉公」といった。その意識はまだ執拗にこの社会にあるような気がする。この社会の隅々にまだ封建時代の雇用慣行が居座っていると気がつくことがある。21世紀の日本社会のひとつのいびつな現実。私自身がその認識から脱し得たのは「ユニオンみえ」の闘いを目の前で見て触れて、であった事を思えばひとごとではない。雇っていただく、働かせてもらう・・・そういう意識からまだ少なくない日本人は脱しきれていない、雇用する側から言えばその反対の意識から脱しきれていないということなのだ。それが小さな事業主の古い認識を下支えしているし、労働組合は怖いなどと言う笑い話のような誤解を巷に横行させてもいる。

 憲法についてはかなり民衆の日常会話に上るようになってきた昨今ではあるが、労働法もそういうものにしていかなければ、驚きあきれ、笑い出してしまうような違法行為は後を絶たず、働く側もまた無知のまま、苦しみ虐げられる状況に押し込められる現実から声を上げるまでに長い時間がかかるのではないだろうか。声を上げなければ闘いは始まらない。声を上げることすらできずに耐えている底辺労働者に「労働法」をしらせる、そんな福音活動の必要性を痛感している。